研究内容

配位結合性高分子

包接機能をもつ格子錯体


 これまでに紹介してきた研究内容はどれも有限の数の分子からなる自己集合でした。 ここでは様々な遷移金属とピリジル基からなる無限構造(高分子錯体)の構築と機能化について紹介します。

 無限にたくさんある分子が集まって何がおこるのか、とくに空孔を有する配位結合性高分子錯体(ネットワーク構造)の特徴として次のことがよく知られています。 1)複数の分子(ゲスト)をとりこむ。2)高分子錯体(ホスト)の形状がゲストを認識・選択する。3)分子が規則正しく配列する。 この点を利用して、ネットワーク構造は分子ふるい・固相反応の触媒・物質変換・分子の貯蔵庫・などへの応用が期待されています。 ここで、配位結合性高分子錯体(ネットワーク構造)は、遷移金属と配位子の無限の組み合わせから、様々な需要に合った空孔サイズと形状を精密につくり出すことが期待されています。 私達は巨大な空孔を規則正しく配列することで機能性材料をオーダーメイドで構築することを目指しています。 同時にゲストに対応して分子骨格を変える柔軟な配位結合性高分子錯体を作ることでより高い分子包接力を誘起するとともに、多目的な機能の創出を目指します。 
 

参考論文

  • "A Spring-like 3D-Coordination Network that Shrinks/Swells in Crystal-to-Crystal Manner upon Guest Removal and Exchang"
    K. Biradha and M. Fujita
    Angew. Chem. Int. Ed., 2002, 41, 3392-3395.

  • "Single-Crystal-to-Single-Crystal. Guest-Exchange of Large Organic Molecules within a 3D-Coordination Network"
    O.Ohmori, M. Kawano, and M. Fujita
    J. Am. Chem. Soc., 2004,126, 16292-16295.

  • "A Two-in-One Crystal Uptake of Two Different Guests into Two Distinct Channels of a Biporous Coordination Network"
    O. Ohmori, M. Kawano, and M. Fujita
    Angew. Chem. Int. Ed., 2005, 44, 1962-1964.


動的ネットワーク錯体


 私達はこれまでにさまざまなネットワーク錯体の設計と構築を試みてきました。 ネットワーク錯体は無限に積み重なった集積構造のため全て結晶として取り扱っています。 結晶というと溶液状態が「動的」であるのに対して「静的」なイメージがあるのではないでしょうか。

 ところが近年いくつかのネットワーク錯体が、結晶性(周期的繰り返し構造)を保持したままゲスト分子に合わせて形を変えているのが見えてきました。 上図の例では、二次元に広がったシート状の配位結合性ポリマーのシート間が滑るようにスライドしています。 これはゲスト分子との相互作用を調べているうちに見えてきたものでどちらの構造もX線結晶構造解析から明らかになっています。 さらに3次元に集積したネットワーク構造でも、ゲストがあると空間が膨らみゲストを除去すると縮む結晶が見つかりました。 いままで無限につながったネットワーク錯体はとても安定で形を変えないか、外的刺激により壊れてしまう場合が多く知られていましたが、結晶が結晶のまま、その形を変えて分子を認識し取り込む様子が明らかになりました。 私達はこのような化合物を動的ネットワーク錯体と呼んでいます。
 

参考論文

  • "Crystal-to-Crystal Sliding of Two-Dimensional Coordination Layers Triggered by Guest Exchange"
    K. Biradha, Y. Hongo, and M. Fujita
    Angew. Chem. Int. Ed., 2002, 41, 3395-3398.

  • "In Situ Observation of Reversible Single-Crystal-to-Single-Crystal Apical Ligand Exchange Reaction in a Hydrogen-Bonded 2D Coordination Network"
    K. Takaoka, M. Kawano, M. Tominaga, and M. Fujita
    Angew. Chem. Int. Ed., 2005, 44, 2151-2154.