プロが負ける瞬間(人間 vs. コンピュータ将棋)
先週末(H25.3.30)、出張先の韓国から帰国の際、プロの将棋棋士がコンピュータと真剣勝負する「電王戦」五番勝負第二局の対局が進行中であることを思い出し、釜山の空港でニコ生放送にネットをつないでみた。勝負はプロが優勢に局面を進め、第一局に続き人間の連勝かと思われた。しかし夕方に帰国後自宅で再度アクセスすると、局面は逆転していた。素人目には勝負はこれからと思えたが、大盤解説のプロの言葉に状況を理解した。解説者は「いや、まだこういう筋もありますし、まだまだわからないですよ」。しかし、その横で聞き手を務める女流棋士はもう涙ぐんで言葉が出ない。要するにプロの目には、どうしようもない、人間側に勝ち目がないほど差が開いてしまった局面だった。それから10手ほど進行したところでプロが静かに頭を下げ投了。NHKで直ちにテロップが流れるほどの出来事で、現役プロが公式の場でコンピュータに初めて破れる歴史的瞬間であった。すでにコンピュータ有利の事前予想がありながらあえて挑んだプロ棋士(佐藤慎一四段)の真摯な対局姿勢はもとより、局後の公式記者会見でも一切言い訳を口に出さず静かに敗戦を認める姿には心を打たれた。心から賞賛を送りたい。
さて、昨日(4月5日)は研究室の新歓行事で野外でのバーベキュー大会。D2竹澤君がマグネット将棋を持参し、もうお酒が相当にまわって満腹となった状態で、第2回「藤田杯」と称する将棋大会がはじまった。竹澤君は高校時代将棋部で群馬県3位を果たした強者。対抗馬はD3の池本君。彼も栃木県3位の実績をもつ強豪である。結果を見ていただきたい。決勝に進出した池本君の挑戦を第一回覇者の私がしりぞけ、「藤田杯選手権者」のタイトルを防衛した。いずれの勝負も逆転につぐ逆転の手に汗をにぎる熱戦であった。特に決勝の最後の勝負どころでは、大勢の観客の見守る中、壮絶な舌戦も繰り広げられ、最後は窮地に追いつめられた私が「僕、教授だよ」の禁じ手ともいえるプレッシャーで池本君の悪手を誘い、辛くも逆転し連覇を達成した。その棋譜を公開するので、興味のある方は駒を並べてほしい。熱戦の様子が伝わることと思う。(時間があれば観戦記、自戦記も書いてみたい。)
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先手 池本 晃喜 D3段 後手 竹澤 浩気 D2段
▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 ▲2六歩 ▽4二銀 ▲4八銀 ▽5四歩 ▲5六歩 ▽3二金 ▲7八金 ▽5二金 ▲5八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽7四歩 ▲6七金右 ▽6四歩▲1六歩 ▽6三銀 ▲1五歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽8五歩 ▲7七銀 ▽7三桂 ▲7九角 ▽3一玉 ▲3六歩 ▽3三銀 ▲5七銀 ▽4四銀 ▲4六銀 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽6五歩 ▲同 歩 ▽同 桂 ▲6六銀 ▽6四銀 ▲2五歩 ▽5七歩 ▲6五銀 ▽同 銀 ▲5七銀 ▽5五銀 ▲2四歩 ▽同 歩▲2五歩 ▽同 歩 ▲2四歩 ▽5六歩 ▲4六銀 ▽同 銀 ▲同 角 ▽5五銀 ▲2三銀 ▽4六銀▲3二銀成 ▽同 玉 ▲2五飛 ▽5八銀 ▲同 玉 ▽5七歩成 ▲同 金 ▽6九銀 ▲同 玉 ▽5七銀成▲2三歩成 ▽4一玉 ▲3二銀 ▽5一玉 ▲6五飛 ▽5八角 ▲7九玉 ▽6九金 ▲同 飛 ▽同角成▲同 玉 ▽6二飛 ▲6三歩 ▽同 飛 ▲6四歩 ▽同 飛 ▲6八歩 ▽6三飛打 ▲2四角 ▽3三角▲同 と ▽6八成銀 ▲同 金 ▽同飛成 ▲同 角 ▽6七歩 ▲8一飛 ▽6二玉 ▲7一角 ▽7三玉▲4六角 ▽6四飛 ▲8二飛成 ▽6三玉 ▲5二龍 ▽7三玉 ▲8二龍 ▽6三玉 ▲5三金 まで109手にて、先手 池本 晃喜 D3段の勝ち
2013年4月5日 (金) 決勝
先手 池本 晃喜 D3段 後手 藤田 誠 永世教授
▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8四歩 ▲7八銀 ▽4二玉 ▲2六歩 ▽3二銀 ▲3八銀 ▽5二金右▲2七銀 ▽3三銀 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽8五歩 ▲7七角 ▽6二銀 ▲6五歩 ▽3二玉▲3八金 ▽5四歩 ▲6四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽4二銀 ▲4八玉 ▽8八歩▲2二角成 ▽同 玉 ▲7七桂 ▽5五角 ▲5四飛 ▽7七角成 ▲同 銀 ▽8九歩成 ▲5八金 ▽9九と ▲3九玉 ▽9八と ▲3四飛 ▽9七と ▲1五歩 ▽8七と ▲6八銀 ▽7八と ▲5九銀 ▽3三歩▲6四飛 ▽6三香 ▲5四飛 ▽6九と ▲1四歩 ▽5九と ▲同 金 ▽8六飛 ▲2八玉 ▽8九飛成▲4八金右 ▽5三銀右 ▲5五飛 ▽1二歩 ▲6四歩 ▽同 銀 ▲1五飛 ▽3二金 ▲1三角 ▽同 桂▲同歩成 ▽同 歩 ▲1二歩 ▽2四銀 ▲1一歩成 ▽1五銀 ▲同 香 ▽1七桂 ▲4九香 ▽2九桂成▲同 玉 ▽3五桂 ▲4一角 ▽5三金 ▲4五桂 ▽2七桂成 ▲同 金 ▽5四角 ▲5三桂成 ▽1一玉▲1二歩 ▽同 玉 ▲1三香成 ▽同 玉 ▲2五桂 ▽2四玉 ▲1六桂 ▽3四玉 ▲3五銀 ▽同 玉▲4六金 ▽4四玉 ▲5四成桂 ▽同 玉 ▲6六歩 ▽5三玉 ▲7一角 ▽6二歩 ▲3二角成 ▽1五桂 ▲7二金 ▽2七桂成 ▲6二角成 ▽5四玉 ▲4五金 ▽同 玉 ▲6三馬 ▽5四歩 ▲4六歩 ▽3五玉▲6二馬 ▽5三香 ▲3六歩 ▽2六玉 ▲3八金 ▽同成桂 ▲同 玉 ▽3七金まで128手にて、後手 藤田 誠 永世教授の勝ち
さて、昨日(4月5日)は研究室の新歓行事で野外でのバーベキュー大会。D2竹澤君がマグネット将棋を持参し、もうお酒が相当にまわって満腹となった状態で、第2回「藤田杯」と称する将棋大会がはじまった。竹澤君は高校時代将棋部で群馬県3位を果たした強者。対抗馬はD3の池本君。彼も栃木県3位の実績をもつ強豪である。結果を見ていただきたい。決勝に進出した池本君の挑戦を第一回覇者の私がしりぞけ、「藤田杯選手権者」のタイトルを防衛した。いずれの勝負も逆転につぐ逆転の手に汗をにぎる熱戦であった。特に決勝の最後の勝負どころでは、大勢の観客の見守る中、壮絶な舌戦も繰り広げられ、最後は窮地に追いつめられた私が「僕、教授だよ」の禁じ手ともいえるプレッシャーで池本君の悪手を誘い、辛くも逆転し連覇を達成した。その棋譜を公開するので、興味のある方は駒を並べてほしい。熱戦の様子が伝わることと思う。(時間があれば観戦記、自戦記も書いてみたい。)
全国の化学系学生諸君、もし腕に覚えがあるのなら以下のHPをご覧いただきたい 「応用化学専攻入試案内」http://www.appchem.t.u-tokyo.ac.jp/annai.html
棋譜
2013年4月5日 (金) 一回戦(準決勝)先手 池本 晃喜 D3段 後手 竹澤 浩気 D2段
▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 ▲2六歩 ▽4二銀 ▲4八銀 ▽5四歩 ▲5六歩 ▽3二金 ▲7八金 ▽5二金 ▲5八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽7四歩 ▲6七金右 ▽6四歩▲1六歩 ▽6三銀 ▲1五歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽8五歩 ▲7七銀 ▽7三桂 ▲7九角 ▽3一玉 ▲3六歩 ▽3三銀 ▲5七銀 ▽4四銀 ▲4六銀 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽6五歩 ▲同 歩 ▽同 桂 ▲6六銀 ▽6四銀 ▲2五歩 ▽5七歩 ▲6五銀 ▽同 銀 ▲5七銀 ▽5五銀 ▲2四歩 ▽同 歩▲2五歩 ▽同 歩 ▲2四歩 ▽5六歩 ▲4六銀 ▽同 銀 ▲同 角 ▽5五銀 ▲2三銀 ▽4六銀▲3二銀成 ▽同 玉 ▲2五飛 ▽5八銀 ▲同 玉 ▽5七歩成 ▲同 金 ▽6九銀 ▲同 玉 ▽5七銀成▲2三歩成 ▽4一玉 ▲3二銀 ▽5一玉 ▲6五飛 ▽5八角 ▲7九玉 ▽6九金 ▲同 飛 ▽同角成▲同 玉 ▽6二飛 ▲6三歩 ▽同 飛 ▲6四歩 ▽同 飛 ▲6八歩 ▽6三飛打 ▲2四角 ▽3三角▲同 と ▽6八成銀 ▲同 金 ▽同飛成 ▲同 角 ▽6七歩 ▲8一飛 ▽6二玉 ▲7一角 ▽7三玉▲4六角 ▽6四飛 ▲8二飛成 ▽6三玉 ▲5二龍 ▽7三玉 ▲8二龍 ▽6三玉 ▲5三金 まで109手にて、先手 池本 晃喜 D3段の勝ち
2013年4月5日 (金) 決勝
先手 池本 晃喜 D3段 後手 藤田 誠 永世教授
▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8四歩 ▲7八銀 ▽4二玉 ▲2六歩 ▽3二銀 ▲3八銀 ▽5二金右▲2七銀 ▽3三銀 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽8五歩 ▲7七角 ▽6二銀 ▲6五歩 ▽3二玉▲3八金 ▽5四歩 ▲6四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽4二銀 ▲4八玉 ▽8八歩▲2二角成 ▽同 玉 ▲7七桂 ▽5五角 ▲5四飛 ▽7七角成 ▲同 銀 ▽8九歩成 ▲5八金 ▽9九と ▲3九玉 ▽9八と ▲3四飛 ▽9七と ▲1五歩 ▽8七と ▲6八銀 ▽7八と ▲5九銀 ▽3三歩▲6四飛 ▽6三香 ▲5四飛 ▽6九と ▲1四歩 ▽5九と ▲同 金 ▽8六飛 ▲2八玉 ▽8九飛成▲4八金右 ▽5三銀右 ▲5五飛 ▽1二歩 ▲6四歩 ▽同 銀 ▲1五飛 ▽3二金 ▲1三角 ▽同 桂▲同歩成 ▽同 歩 ▲1二歩 ▽2四銀 ▲1一歩成 ▽1五銀 ▲同 香 ▽1七桂 ▲4九香 ▽2九桂成▲同 玉 ▽3五桂 ▲4一角 ▽5三金 ▲4五桂 ▽2七桂成 ▲同 金 ▽5四角 ▲5三桂成 ▽1一玉▲1二歩 ▽同 玉 ▲1三香成 ▽同 玉 ▲2五桂 ▽2四玉 ▲1六桂 ▽3四玉 ▲3五銀 ▽同 玉▲4六金 ▽4四玉 ▲5四成桂 ▽同 玉 ▲6六歩 ▽5三玉 ▲7一角 ▽6二歩 ▲3二角成 ▽1五桂 ▲7二金 ▽2七桂成 ▲6二角成 ▽5四玉 ▲4五金 ▽同 玉 ▲6三馬 ▽5四歩 ▲4六歩 ▽3五玉▲6二馬 ▽5三香 ▲3六歩 ▽2六玉 ▲3八金 ▽同成桂 ▲同 玉 ▽3七金まで128手にて、後手 藤田 誠 永世教授の勝ち